高倉健さん 大滝秀治さんを偲ぶ

10月初めに NHK総合の「プロフェッショナル仕事の流儀」で

あの高倉健さんが、出演されていました。

これまで、前例のない「長期間の密着取材」であって

映画人として、驚くばかりに、寡黙な印象は消え去り

日頃の「素」のままの 高倉健さんを感じ取ることができました。

こんなにも、人情味があって 屈託のない人柄で

多くのことを 次々に話し続けてくれる。 とても意外な印象でした。


・外国の映画は、学ぶべきところが多々ある
 「ゴッドファーザー」には 大きな影響を受けた

・映画の世界に生き抜くと決めてから、ふだんの自分を
 見せてはいけないと思った

・もう自分もそろそろ、映画というものに生命をかけた
 人間として、後に語り継ぐ必要があると思った

・(役者どうしへの思いやりもすごいが、撮影スタッフの
  一人ひとりにも気遣いをしている姿がありました)

その他にも・・・・あったかさが溢れていましたね。


そうやって、自分が裸になって、後進に道を拓くつもりで、この番組取材を

引き受けたらしいです。


印象的なのは  ・・・そのインタビュー場面に、長崎平戸の漁村で

撮影ロケの場面がありました。  (「あなたへ」以下にWEB情報を引用しました)


大滝秀治さんの 映画のなかでの 役柄としては、

年老いた漁師役で、高倉健さんの奥さんの遺骨を

海に散骨することを 終えて戻ってきたあとで

港の突堤で、ややうつむき加減に

海のやさしさ、海の偉大さを感じて 

つぶやくようにもらした 一言だったと思います。


  「久しぶりに きれいな 海ば見た・・・」



そこで、その撮影現場の傍らで じっと見ていた高倉健さんが

思わず、涙ぐんで ハンカチで拭う姿が写っていました。



わずか、3秒か 4秒にセリフが1回だけです。

そのカットは、すぐにOKになりました。


その演技を見ていた直後に 「すごいと思いませんか?」

NHK番組の取材スタッフに 高倉健さんが投げかけた言葉でした。


もうすでに、この「あなたへ」の収録の時点では、

大滝秀治さんの病状は悪化していたのでしょうか

高倉健さんが すでに知っていたのか、そこは分かりませんが、



「いまの場面を この映画全体のなかで、もう一度 実際に観て下さい」

そう言い添えて その場を立ち去っていったんですよね。

ものすごい、インパクトのある、一人の老いた漁師の生き様が
その言葉に凝縮されていたのではないでしょうか。
その演技を 瞬時に 成り代わってできるというのは

「まだまだ いまの自分にはできない」という 

高倉健さんの 謙虚さの現れでもあったのです。



遺作となった、「あなたへ」    ぜひあの場面を観たいと思っています。


 「久しぶりに きれいな 海ば見た・・・」



大滝秀治さんの役者魂には 畏敬の念がこみ上げてきます。


心よりご冥福をお祈りします
 

【参考:WEB掲載記事】

高倉健、大滝秀治さん“共演秘話”…名優が流した涙の理由 - 芸能 - ZAKZAK