和民・・・見えない部分

渡邉美樹さんの、コメントが火種となって始まったようです。
ご本人のTwitterの断片的表現、報道の一部からすれば、
一般人から批難を浴びてしまうのは、いたしかたないでしょう。


http://www.tax-hoken.com/news_ZI0Y5yEBi.html?right


そもそものところで、世の中をみて感じたまま記しますが、
飲食業界の低価格、長い営業時間で、他店との地域競争が激化
する背景では、のその労務環境にも、人員削減・安い賃金という
事態を回避できない 経営側の問題があると言えます。

消費者が安くて、美味くて、種類が豊富で等・・・際限なく
「わがまま欲求」を高めてくる時代になりましたから、居酒屋チェーンも
大変な時代です。
また飲食店の口コミサイトでも、情報が氾濫しているために
神経をピリピリしながら、店舗運営をしなければならない。


そのなかで、懸命に頑張ってきた従業員が自殺に至ったことは
とても悔やまれることで、悲しいことです。
だからこそ、今回のことから外食産業全体が、再点検をして、改善策を
見出して、消費者も気付きを得ることに期待をつなげたいです。


でも、あってはならない現実の問題には、報道されていない部分が
どうしてもあるので、事実の解明と今後の改善策を
三者としての立場では、見出しすのは難しそうです。

見えない部分として、大きくは2つの部分になるかと思っています。


ひとつは、【労務環境】として、以下思いつくところです。


・勤務開始から2ヶ月で自殺に至る経緯は?

・深夜勤務の調理担当として、新人従業員でありながら
 所定外労働が計140時間に及んだ理由は?

・5〜7日連続して昼勤務と深夜勤務を、受け入れることが
 どれだけ心身両面に負担になるか、自覚ができたはず
 だが、それを続けないといけない理由があったのだろうか?
  (その店舗において、帰属意識や忠誠心が影響したとは
  想定しにくいため)

・渡邉美樹さんのコメントからは、店舗の従業員どおしで
 助け合いながらというニュアンスが、書いてあるが、
 調理担当、ホール担当、その他、労働時間の配分は
 それぞれ、どうなっていたのだろう?

・日次の就業管理の方法は、出社退社の打刻と承認の手順は?

管理監督者が、勤務シフトを編成をしていたのか、あるいは欠員の補充で
 臨時勤務を指示したのか?
 管理監督者は深夜も常勤でいたのか、店長の指揮命令権限は?
 代行者の存在があったのだろうか?

・渡邉美樹会長の「指導の言葉」には絶対服従なのだろうか?
 現場の指導者をそれを、咀嚼して、部下に伝える能力が必要。
 社員研修や、モラル指導にある言葉を、そのまま現場に
 持ち込む感覚があったのだろうか?

 

労務の実態と、報道された内容に差異があるとは、具体的に何だろう?



そして、もうひとつの見えない部分は、【精神疾患】という分野です。
私がメンタルヘルスケアの担当者として、想像も含めて記してみます。

お断りとして、今回の和民の労災認定に特定した意見ではありません。

事実情報が明白でないまま、ものごとを断定することはできませんので。
あくまで過重労働を主因とした、自殺認定に至る経緯をもとに
想定できるいくつかの視点を挙げさせてもらいます。

(ここでは、企業人事担当としての個人的な内容ですので、多少の
 偏りある意見があるかもしれませんが、ご容赦くださいませ)


まずは、専門医の受診を開始した時期から治療の経緯と医師判断が
どうなっているか、気になる部分です。


まず、日中から、深夜に至るまで過酷な労働時間に置かれていたことから
精神科医、あるいは心療内科医による初診日はいつであったのでしょうか?
通常の8時間労働に加えて、土日深夜の計140時間というと、
一日平均13〜14時間は、店舗内での労働をしていたことになります。

休日に受診をしたとして、完全な睡眠不足で、過労性のうつ状態であることは
間違いないことです。
初回の医師の判断の処方薬が、適正でないことは、往々にしてありますから
医師の指示どおりに、抗うつ剤を朝や夜に服用して、深夜早朝まで
重労働をしていたと想定すると、危険極まりない状態で、ふらふらと
勤務していたことが考えられます。

その酩酊したような姿は、同じ職場にいる誰かが、すぐに察知できるものです。
それに気づかないほど、普通に勤務していたとすれば、あくまで仮説ですが
勤務を開始する以前から、既往症があり、その過酷な勤務状態も冷静に
判断できずに受けいれてしまったのかもしれません。
あわせて、医師指定の服薬は、断じていたのかもしれません。

そこで昼夜連続の、働き詰め状態で過労が増して、精神治療どころでは
なくなり、過去から保有していた、多種多量の処方薬を、安易に服用すれば
ますます、精神状態が悪化することにつながります。


健全な治療方法としては、十分な休養と睡眠時間、規則正しい食事と
基本的な生活リズムに戻して、自然な治癒力を回復させることが優先で
あるはずなのですが。

基本の日常生活が維持できない状況にあったわけです。
長い労働時間がベースにあって、もともとの几帳面で、責任感の強い性格が重なり、
新しい仕事、調理手順も覚えて、職場の人間関係もうまく対応しないといけない。

さらに、いぜんからの友人知人との交流もできない孤独感があり、
心身の疲れは増すいっぽうで、体調が回復する見込みもないと・・・
そうすれば、誰でもその環境から解放されたい願望が高まってきます。
仕事は始めたばかり、収入も生活のために必要だし、いきなり辞めることは
できない、迷惑かけてはいけない・・・。

どうしたら解決できるのだろう?どんな方法もあるはずがない。
だったら、自分の存在が消える方法しかないのでは・・・
一番、早い近い道として、「自殺」を思い浮かべてしまうという、

そんな連想につながる心理状態におかれる傾向にあるそうです。

もし、その極限のタイミングで、精神治療薬を多剤服用したとすれば、理性的な判断も
できなくなり、一番の引き金となって衝動的な行動に至ってしまうことになります。


この精神障害の発症という部分から、専門医の診断書が
提示されているはずですが、その主治医がどういう根拠に基づいて
診断を行い、投薬療法を行なっていたのか、報道部分では分からない
ところになります。

もちろん、遺族の方々のご意向もあって、病状や治療の経緯、専門医との
やりとりを公表したくないのは当然ですので、
事実が世間的に不明であることは仕方のないことです。


ただ、昨今のうつ病診断のうち、誤診は4割にものぼると報道がなされています。
                     (NHKスペシャル 2012/2/12放送)
もし、医師が双極性障害であることを、見抜けずに多剤併用の療法をとったすれば、
よけいに自殺衝動を抑止できなくなる事例は、事実として認識されているそうです。


自殺行為に至った直接の要因は、労働裁判でも真相を解明することは困難であり
今後もまた、精神医療の深刻な闇は閉ざされたままになっていくようです。




うつ病患者国内100万人、自殺者が毎年3万人を超えるーーーー

どの中東の諸外国での戦死者数よりも、自殺者が多い国である
いまの、現実の日本です。
誰が誰を思いやるのか、誰が誰を支えるのだろう

見て見ぬふり、知らなかったから仕方がない・・・
そんな社会ではあってはいけないと

子供たちの未来のために、すべきこと できること
目の前に たくさん、いっぱいあるんです。